本稿はnoteに公開された藤崎剛人による評論で、TBS系日曜劇場『VIVANT』シーズン2開始後に高まる批判を出発点に、この作品が政権のプロパガンダと言えるのかを問い直す。まず視聴者が有害なナショナリズムや隣国への敵対感情を抱く可能性と、製作者にその意図があるかを別の層として扱う枠組みを提示する。
議論の中心は、自衛隊内の諜報部隊「別班」に属する主人公・乃木が「国益」のために危険な任務を遂行する物語が、対中敵対心を煽るという批判への応答にある。著者は受け手の解釈は自由であり、意図せぬ効果が生じ得るとしつつ、プロパガンダ説については否定的な見方を示す。
根拠として挙げられるのは、プロパガンダにしては出来が悪すぎるという点と、作り手がナショナリズム的な方向へドラマを駆動させることを回避している節があるという観察だ。作品の本質を見極めることが重要だと主張する。
ドラマの社会的影響やメディアの取り上げ方に関心のある読者、考察ブームの中で批判と擁護の両方を整理したい人に適する。長文の論考のため、関心のある章から読み進めるとよい。
全体として、感情的な批判と制作意図を混同しないための思考の枠組みを提供する評論である。
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